記事バージョン:1.5 最終更新:2026年8月14日
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Railways of the Lost Atlasは、プレイヤーが地図そのものを組み立てる18xx系の鉄道ゲームです。小さな鉄道会社を始め、線路を延ばし、株価を育て、やがて2社を合併して大会社にします。
「18xx系は面白そうだけど、何をしているのか分かりにくい・・・」という人に向けて、本作で最初につまずきやすいところをまとめました。この記事は公式第2版ルールを基準に、公式FAQとBoardGameGeekの質問を調べて作っています。初版を持っている人は、後半の「初版を持っている人へ」も確認してください。

| ゲーム名 | Railways of the Lost Atlas |
|---|---|
| 発表年 | 2024年 |
| 人数 | 1〜5人(通常の対人ゲームは2〜5人、1人用は別ルール) |
| 公称時間 | 60〜300分 |
| 難しさ | BoardGameGeekで約3.8 / 5 |
| 作者 | Kevin Delger、Jacob Schacht |
| 特徴 | 可変地図、能力の違う小会社、合併、長さを選べるゲームモード |
多くの18xx共通
一番大事なのは、プレイヤーと会社を別の存在として考えることです。社長になっても、会社金庫は自分の財布ではありません。
| 財布 | 誰のお金か | 主な使い道 |
|---|---|---|
| プレイヤーの個人資金 | あなた個人 | 会社の競売、株の購入、強制列車購入の不足分 |
| 会社金庫 | その会社 | 線路、拠点、列車、会社による自社株の買い戻し |
| 銀行 | ゲーム全体 | 配当や会社収益の支払元。売られた株も銀行プールへ置く |
運行で100の収益が出ても、社長が100を受け取るわけではありません。配当すれば株主全員へ持株数に応じて支払われ、内部留保すれば100すべてが会社金庫へ入ります。つまり「会社が金持ち」と「自分が金持ち」は別の話です。
多くの18xx共通
勝敗は、最後に持っている個人の現金と株の価値で決まります。会社金庫のお金は、そのままでは個人資産に入りません。
社長は会社の運営を決めますが、会社を一人で所有しているわけではありません。ほかの人も株を買えます。別の人が自分より多く株を持てば、社長株券を交換して社長が変わります。
自分の会社だけを最後まで守るゲームではなく、他社の株を買って配当を受けたり、将来の社長交代を考えたりします。鉄道ゲームの姿をしていますが、中身はかなり株式ゲームですね。
Lost Atlas独自
| 株式ラウンド 個人が株を売買 |
→ | 運行ラウンド1 線路・運行・列車 |
→ | 運行ラウンド2 もう一度会社を運営 |
→ | 合併 条件成立後 |
→ | 列車輸出 山の先頭を除く |
この一巡をサイクルと呼びます。Shortゲームは4サイクル、Longゲームは6サイクルです。合併ラウンドは、最初の緑色列車が購入または輸出された後から行います。
Microゲームは短時間用の別モードです。通常ゲームにあるサイクル末の列車輸出は行いません。公式の入門用固定マップとMicroゲームは、どちらも初心者向けですが別々の仕組みです。
多くの18xx共通。本作独自の競売あり
競売は120以上、5刻みです。落札者は、公開されている小会社から好きな一社を選んで社長になります。特定の会社を先に決めて競るのではありません。
落札額はその会社の会社金庫へ入り、落札額の半分(端数切り捨て)が初期株価になります。小会社の社長株券は40%分で、これを買った時点で会社が始まります。
どの小会社を選ぶかは、その会社の特殊能力で決まります。12社それぞれの能力と使いどころは、小会社12社の特殊能力の図解ページにまとめました。
一回の手番では、次のどれかを行います。
全員が続けてパスするまで、手番は何周も回ります。株を売るなら、その手番で売る分を先にまとめて売ります。同じ会社の株を一度に何枚売っても、株価低下は1段だけです。ただし、次に手番が回ってきたときにまた売れば、もう1段下がります。
その株式ラウンド中に自分が売った会社の株は買い戻せません。買ってから売る順番にもできないため、「先に売る、後で1枚買う」と覚えると分かりやすいです。
株は、どこに置かれていた株券を買ったかによって、代金の行き先が変わります。「株券が置かれていた場所へ支払う」と覚えると分かりやすいです。
| 株の購入場所 | 代金の支払先 | 会社の資金 |
|---|---|---|
| 会社金庫にある株 | その会社の会社金庫 | 増える |
| 銀行プールにある株 | 銀行 | 増えない |
会社金庫の株が売れたときだけ、その会社へ新しい資金が入ります。銀行プールの株は以前に誰かが売った株なので、それを買っても会社金庫には入りません。この違いは、会社に線路代や列車代を用意するときに重要です。
本作には、プレイヤーが持てる株券の総枚数制限はありません。ただし、一社ごとの保有率と、銀行プールに置ける割合には次の上限があります。
| 対象 | 一社ごとの上限 | 具体例 |
|---|---|---|
| 一人のプレイヤー | 60% | 小会社は社長株40%+通常株20%。大会社は社長株20%+通常株10%×4まで |
| 銀行プール | 50% | 株の売却後に、その会社の株が50%を超えて銀行プールに置かれる売却はできない |
「株券の総枚数は無制限」と「一社について最大60%」は別の決まりです。複数社の株を何枚持っても構いませんが、同じ会社を一人で60%より多く所有することはできません。
小会社の株は1株20%、大会社の株は1株10%です。社長株券は通常の2株分です。別の人が社長より多く持つと、その人へ社長が交代します。同数なら今の社長が続けます。
競売のお金の行き先、売買の順番、保有率の上限、株価表の読み方を図で確認したい場合は、株式ラウンドの進め方 図解ページをご覧ください。
多くの18xx共通
会社は株価の高い順に運営します。同じ株価なら、株価表の同じ列で上にある会社から先です。この順番を運行順と呼びます。会社の社長が判断し、費用は会社金庫から支払います。
各小会社・大会社は、次の7工程を順番どおりに行います。
買い戻しの主な利点は二つあります。
8工程の順番、運行経路の可否、配当と株価の動き、強制列車購入を図で確認したい場合は、運行ラウンドの図解ページをご覧ください。
列車の購入は最後です。そのため、先に収益を配当してしまい、必要な列車代が会社金庫に残らない事故が起こります。手番の2番目に行う「株を1株発行する」は会社資金を増やせますが、代わりに株価が下がります。
多くの18xx共通。本作にはLocal routeあり
空いている場所へ黄色タイルを置くのは新規配置です。黄色を緑、緑を紫、紫を灰色へ交換するのが改良です。通常は一回の運行ラウンドで、黄色を最大2枚置くか、タイルを1枚改良します。
好きな場所へ置けるわけではありません。会社の現在の線路から新しい線路へ到達できる必要があります。都市タイルを改良するときは、元の線路を消したり、使っている駅や拠点を無くしたりできません。
線路のつながり、都市と非都市の違い、禁止される方向、予約都市枠を図で確認したい場合は、線路タイル配置・改良の図解ページをご覧ください。
通常の小会社は、運行ラウンド中に追加拠点を置けません。追加拠点を置けるのは大会社またはExpansive Companyです。会社からつながる空き都市枠へ、印刷された費用を会社金庫から払って置きます。一つのタイルに同じ会社の拠点を複数置くことはできません。
列車の数字は、進める六角形の数ではなく、数えられる停車地点の上限です。3列車なら1〜3地点を数えられます。ただし、途中の停車地点を都合よく飛ばして遠くへ延ばすことはできません。
Local routeは、自社拠点がある都市一つだけを数える運行です。最初の運行ラウンドで次の都市へ届かない会社や、線路より列車が多い会社を救う仕組みです。
通常経路の最後に一駅を付け足すルールではありません。線路を使わない独立した一地点運行なので、同じ拠点都市で複数のLocal routeを行うこともできます。
多くの18xx共通。本作は全額かゼロ
運行収益は、次のどちらかにします。
一部を配当して残りを会社へ入れることはできません。配当額が現在の株価以上なら株価が上がり、2倍以上なら2段上がります。0より多いものの株価未満なら、株価は下がりませんが、同じ価格の列の一番下へ移動します。次回の運行順が遅くなる可能性があります。
多くの18xx共通。本作は列車輸出あり
フェーズは、現在どの世代の列車まで登場しているかを表す、ゲーム全体の段階です。フェーズが進むと新しい色のタイルが使えるようになり、古い列車が錆びる場合があります。
| きっかけ | フェーズ | 使用できるタイルと改良 | 錆びる列車 |
|---|---|---|---|
| ゲーム開始・2列車 | 黄色 | 黄色タイルを新規配置できる。通常の改良はまだできない | なし |
| 最初の3列車 | 緑 | 緑タイルが解禁。黄色→緑へ改良できる | なし |
| 最初の4列車 | 緑のまま | 新しい色の解禁なし | 2列車すべて |
| 最初の5列車 | 紫 | 紫タイルが解禁。緑→紫へ改良できる | なし |
| 最初の6列車 | 紫のまま | 新しい色の解禁なし | 3列車すべて |
| 最初の7/∞列車 | 灰色 | 灰色タイルが解禁。紫→灰色へ改良できる | 4列車すべて |
2列車時代には、黄色タイルの新規配置はできますが、黄色→緑の改良はできません。改良は黄色→緑→紫→灰色の順で行い、途中の色を飛ばすこともできません。追加ルールによる例外を除きます。
公式TTSの早見カードにある基本枚数へ、4人以上では印付きの3列車と6列車を各1枚加えます。これをまとめると次の表になります。
| ゲーム | 2列車 | 3列車 | 4列車 | 5列車 | 6列車 | 7/∞列車 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Short・2〜3人 | 6 | 4 | 3 | 2 | 1 | 無制限 |
| Short・4人 | 6 | 5 | 3 | 2 | 2 | 無制限 |
| Long・3人 | 7 | 5 | 4 | 3 | 2 | 無制限 |
| Long・4〜5人 | 7 | 6 | 4 | 3 | 3 | 無制限 |
第2版の列車カード30枚は、基本28枚(2列車7枚、3列車5枚、4列車4枚、5列車3枚、6列車2枚、7/∞列車7枚)と、4人以上用の追加3列車・6列車各1枚です。7/∞列車はカード自体が7枚でも、ルール上の在庫は無制限です。
会社は、列車を持たずに運行ラウンドを終えられません。資金と保有限度があれば、一度の列車購入工程で複数の列車を買えます。
最初の3・5・7/∞列車が購入または輸出されると、ゲーム全体のフェーズが変わります。列車の購入で変わった場合、新しい色のタイルは同じ運行ラウンドで次に運営する会社から使えます。サイクル末の列車輸出で変わった場合は、次の運行ラウンドから使えます。
列車輸出でも古い列車が錆びます。2列車が輸出される場合は、残っている2列車もまとめて除かれます。Microゲームでは列車輸出を行いません。
会社金庫だけで必須列車を買えないと、強制列車購入になります。このとき社長は個人資産から不足分を出す可能性があります。それでも買えなければ破産です。通常はその時点でゲーム終了ですが、残ったプレイヤー全員が望む場合だけ、破産者を除いて続ける手順があります。
Lost Atlas独自
| 小会社A 現金・列車・拠点・能力A |
+ | 小会社B 現金・列車・拠点・能力B |
→ | 大会社 両社の資産と能力A+B |
合併判定では、二社の拠点の間に、他社拠点で封鎖されていない線路がつながっているかを調べます。このとき、今持っている列車の長さは関係ありません。どこまでも線路をたどれるものとして接続を確認します。
通常ルールでは両社長の同意が必要です。Hostile Mergersは同意なしの合併を扱う追加ルールなので、初回は使わない方が分かりやすいです。
合併後は、現金、列車、株、拠点を大会社へまとめ、元の小会社二社の特殊能力も両方残ります。この「能力の組み合わせ」がLost Atlasらしい部分です。
開催条件、提案できる相手の調べ方、社長の決まり方、株券の交換、平均株価、拠点トークンの引き継ぎを図で確認したい場合は、合併ラウンドの図解ページをご覧ください。
初回は次の組み合わせが安全です。
入門用固定マップとMicroルールは別々に選ぶものです。まずこの組み合わせで流れを覚え、次にShort、最後にLongへ進むとよいでしょう。地図を自由に作る面白さは本作の大きな魅力ですが、最初から本拠地を水辺や外周へ閉じ込めると、線路が伸ばせず笑えない会社ができます・・・。自由地図は基本を覚えてからがおすすめです。
公称時間は60〜300分ですが、これは設定と経験で大きく変わります。経験者が教えるMicroなら90分ほどの例がある一方、初心者中心の長いゲームでは4時間以上かかることがあります。最初は時間に余裕のある日に遊ぶのが安心です。
| 多くの18xxに共通する考え方 | Lost Atlas独自の仕組み |
|---|---|
| 個人資金と会社金庫を分ける | プレイヤーが組み立てる可変地図 |
| 株主と社長は別の役割 | 能力の違う小会社 |
| 株式ラウンドと運行ラウンド | 競売額が会社資金と初期株価を決める |
| 共用線路と拠点による封鎖 | 初回先行購入列車とLocal route |
| 配当と内部留保 | 小会社二社の能力を残す合併 |
| 列車の世代交代と強制購入 | サイクル末の列車輸出と固定サイクル終了 |
18xx作品は、タイトルごとに細かいルールがかなり違います。「18xxでは必ずこう」と覚えるより、「多くの作品に共通する考え方」と「この作品だけの決まり」を分ける方が安全です。
初版の冊子と現在の公式第2版では、いくつかの変更があります。代表例は次の通りです。
BGGの第2版変更スレッドの冒頭には、制作途中の案だった「追加5列車」が残っています。その後デザイナーが、テスト終盤に「追加6列車」へ変更したと説明しています。現在の公式PDFと公式TTSにある3列車・6列車の組み合わせが最終情報です。
公式FAQには、次の訂正もあります。
初版で遊ぶ場合は、公式FAQと第2版変更一覧を手元に置くのがおすすめです。
このゲームは「短くした18xx」というより、18xxの面白い部分を、地図と長さを変えながら試せる道具箱に近いかなと思います。最初は三つの財布と列車が錆びるタイミングだけ忘れなければ、盤面で起きていることがかなり見えやすくなるはずです。
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