警鐘 / 渡邉美樹
ワタミの創業者である渡邉氏が議員生活を終え、日本の現状について語った書です。
元々ワタミは好きでしたし、経営理念にも賛同していたので、その渡邉氏が政界に入ってどういう活動をされていたのか。正直、あまり話題にもなってなかったなーというのが率直な印象だったので、どう総括されているのか気になって手に取りました。
渡邉氏自身は0点だったと総括されています。派閥に属さない状況では何を言っても取り上げられず党内抵抗勢力なような状態で何も変えられなかったと感想を述べられています。
実際に国会では、お金は使い切るのが当たり前で費用対効果を高めるという意識が無い。
こんな状況だから、日本の財政は危機的で財政破綻寸前。財政規律が無い。
一方、最近話題のMMT理論についても疑念を持たれています。
渡邉氏の主張を要約すると、小さな政府で財政再建。これは私の考えているのに近いです。
一般的に、小さな政府を主張する人は、減税でむしろ財政拡大を推奨している人が多い印象なので、非常に好感を持ちました。
巻末には300の提言が掲載されており、政策提言を整理するには、これを見るだけでもこの本を購入する価値があるのではないでしょうか。財政再建が一丁目一番地に挙げられているのも評価が高いです。
あとは、渡邉氏が政界にいる間に業績が悪化し、倒産寸前まで進んだことも書かれています。
あれだけのカリスマを持ち、夢に日付をと情熱と崇高な理念をもって改革し、十分な準備をして権限を委譲したにもかかわらず、こんな惨状に陥るとは、いかに経営の継承というものが難しいかを思い知らされました。
与党のだらしなさはもとより、野党はモリカケばかり議論していてまともな議員がいない事についても言及されてます。こういう政治家が中心になることを祈りつつ、まともでない議員を選んでいる我々有権者にも問題は多いと思いますので、真贋を見分けられるようになるためにも、是非お手に取って読んでもらいたい一冊です。